中村天風財団(天風会)

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スタッフの松田さんにインタビュー

運動法セミナーレポート

松田洋 (愛知県)  2000年(平成12年)入会

 

今回はスタッフの松田洋さんに、お話をうかがいました。
松田さんは心身統一法運動法セミナーでは、実技の指導を担当されています。

 

――よろしくお願いします。さっそくですが、運動法セミナーのスタッフになるいきさつを教えてください。

松田 私は名古屋の会でスタッフをしているんですが、2009年から2年間、東京に単身赴任していました。そのとき親しくさせていただいた会員の皆さんが、当時の土曜行修会のスタッフだったんです。それで土曜行修会がオンラインになったとき、遠隔地からでも参加できる、ということで、私にも声がかかりました。それがきっかけです。

――運動法セミナーは、日本各地からスタッフが集まっていますね。

松田 はい。でも、スタッフだけじゃありませんよ。参加者も、全国どころか世界各地から参加されています。アメリカ、カナダ、オーストラリア、フィリピン、たしか台湾からの参加もありました。

――さすがオンラインですね。

松田 海外からの参加者といえば、アメリカから参加された日本人の方がいらしたんですが、その方の書道の先生であるアメリカ人の書道家が書かれた書物から心身統一法を知り、オンラインで参加したというんです。心身統一法が海外に、しかも日本人以外にも知られていてとわかって、不思議な縁にびっくりしたとともに、とてもうれしかったですね。

――オンラインで運動法などを指導するとき、特に気をつけているところはありますか?

松田 短い時間なので、コンパクトにまとめて説明するところに工夫がいりますね。ポイントになる大切な動作については、カメラの前でピンポイントに見せて行うようにしています。
それと、運動法をはじめる前に、それぞれの特徴を説明して、大まかな心構えを伝えています。呼吸操練は呼吸器官を訓練強化するために、意識的に大きく吐き、大きく吸い、吐き切ってクンバハカ、吸い切ってクンバハカをするという基本的な原理を心がけること。統一式運動法は、心は哲学的意味をイメージして、それに合わせて身体が表現すること。そのさいふだん使っていない筋肉と動作の合間のクンバハカを意識すること。積極体操は、青空のように澄み切った心、無心という絶対的観念が、目の前の、心にわいてきた雲、消極という相対的観念を打ち払うという気持ちで気を込めて打ち、打つ前と後にしっかりとクンバハカを行うといったように、心と身体とクンバハカを意識するように指導しています。

――オンラインで学ぶ人たちにアドバイスはありますか?

松田 教える側は対面とちがって細かい指導ができず、どうしても一方通行になってしまいます。ですから参加する皆さんは、一度学んだことをご自身で繰り返し行うことが大切です。
運動法はなかなか覚えられないと思いますが、覚えやすい簡単な動作を繰り返し熱心に行うことでも運動法の効果があります。それと、オンラインだけでなく、できれば最寄りのリアルの会場に足を運び、直接スタッフから教わるのが良いと思います。

――最近はコロナ禍も落ち着いてきたので、中村天風財団も各地でリアルの行事を再開させていますからね。

松田 ええ。ぜひリアルの方も参加してください。オンラインでは味わえない肌感覚の喜びを感じることができますよ。

――継続してオンラインで学ぶための心構えのようなものがあれば。

松田 そうですね。さきほども言いましたが、一度に全部覚えようとはせずに、あきらめず、焦らず、ひとつでも覚えたら、その同じ動作を真剣に繰り返していくと、効果を身体で実感できていくようになります。さらに、覚えた動作をひとつひとつ増やしていくという態度で臨んでいけば、気負わず、確実に身についていくと思います。

――これから参加しようと思っている人に、何かアドバイスはありますか?

松田 心と身体の両方から学ぶのが、心身統一法のユニークなところです。実際に身体を動かすことで、本からは学べないことが、自分の身体から学ぶことができます。何より身体を動かすことは楽しいことですし、他の人たちと一緒に学ぶと、楽しさも倍増します。心身統一法に興味のある方は、ぜひ参加してほしいと思います。

――教えを早く身につけるコツのようなものがあれば、教えてください。

松田 教え全般ではなく、運動法に限ったことを言いますと、私は運動法は「心が身体を動かす」ものと思っています。ですので、ひとつひとつの動作の名称とその効果、意味やイメージを先に覚えていくと、一連の動作が早く身につくと、私自身の体験からそう思います。

――松田さんは日常生活において、心身統一法をどのように実践しているのですか?

松田 心身統一法の教えの中で、今日一日の心がけを誓う誓詞があります。その中に書いてある三勿三行――怒らず、恐れず、悲しまず、正直、親切、愉快の厳守が、今を「尊く」活きることに必須だと本で知り、深く心が動かされました。微妙な感情をコントロールする重要性を知り、「消極」から「積極」へ心を切り替えるタイミングの励みとして、三勿三行を日々心がけるようになりました。クンバハカの実践は三勿三行につながります。運動法以外にも、誦句を唱えるとき、歯を磨くとき、鏡に映る自分を見るたび、運転中音楽のリズムに合わせて、歩くとき、駅で電車を待っているとき、階段の上がり下りなど、日常生活に組み入れるようクンバハカを心がけています。それと、「調和」と「正しさ」も、私には大切なキーワードです。家庭や仕事で心が動揺したとき、困ったとき、迷ったときの調和と正しさを保つためには、クンバハカと安定打坐は欠かせません。

――最後になりますが、松田さんにとって心身統一法とは何ですか?

松田 「神、我とともにあり」と同様で、「心身統一法、我とともにあり」という存在です。 
常に私を律し、悩めるときには、私の進むべき方向を指し示してくれる頼れるヤツです。いつも身近に感じる、中村天風の「まごころ」のような存在なのかもしれません。

――ありがとうございました。



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