今月の天風箴言

油断をするといつしか
「誓」の言葉を空文にして活きて居る事があるから
十分気をつけねばならない

箴言註釈24 現代語表記版

この事柄は、今更事新しくいうまでもなく、恐らく会員諸君の大抵の人が日常生活の実際の場面で時々体験し、同時に反省しておられることであろうと思う。

もっと詳しくいうなら、せっかく、毎朝「甦えりの誦句」や「誓」の言葉を心をこめて唱えて、今日一日の人生を、出来るだけ尊く、清く、活きぬこうと心がけていたのに、ひょいと気づいてみると、いつしか消極的な感情のとりことなり、或いは怒り、或いは悲しみ、或いは怖れ又は憎む、悩むという気持ちになっている自分を発見するというようなことをです。

察するに、これは何も初心の人のみでなく、相当教義に順応して生活しているはずの古参会員の中にも、この遺憾(いかん)な事をしばしば経験されている人がおられることと思う。

かりにも真人として活きるのに必要な根本法則である精神生活態度の決定に対する必須条件、すなわち、心に固有する感応性能の積極化を現実にする「観念要素の更改」「神経反射作用の調節」「積極観念の養成」等の重要方法を励行し、そのうえ安定打坐密法も怠りなく実行しているにもかかわらず、こういう風に時折「誓」の言葉を裏切るような心の状態になるというのは、そもそも一体どういう理由なのか? というと、それはこの箴言の冒頭にある「油断」ということがその主な原因なのである。

それも、精神感応性能の積極化ということが完全に徹底的に出来上がっていれば別だが、そうでない限りは、ちょっとでも精神態度を保つ上に「油断」という心の状態が生ずると、たちまち実在意識領を消極的な感情々念で占領させてしまうことになるのである。

このように心が「油断」という状態になる第一の過程は、その時の意識が明瞭さを欠いているからなのである。

考えてみてもすぐに分かることだが、いやしくも人生の真理を習得した者が、ハッキリした気もちで、わざわざ心に消極的な感情々念を招きいれるはずがない。つまり、自分はその時気づかないが、とにかく、心の明瞭度がピンボケになっていたために、その油断につけ入って消極念が実在意識領に侵入したからなのである。

だから、「誓」の言葉通りの人生に活きるのには、もっともっと精神使用の原則を尊重して、観念集中を現実にすることに努力しなければいけないのである。

結局は、「実践躬行(じっせんきゅうこう)ひたすらに倦(う)む勿(なか)れ」である。

身をもって実践に努めさえすれば、それが必ずや第二の天性になるというように習性化するに決まっているからである。第二の天性というようになれば、どんな場合にも「誓」を裏切るような気もちには断然ならない。

要は万一「誓」の言葉を無意味にしたような場合には、後悔することよりは、もっともっと自ら実践に努力するよう我と我が心に鞭を当てよ、である。

それがこの箴言の終わりの「十分気をつけねばならない」という言葉に該当する。

『天風哲人箴言註釈』昭和三十八年発行、「箴言二十四」現代語表記・編集部編

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