今月の天風箴言

何人と雖(いえど)も反省を人に強(し)うる権利はない 
反省という事は自分自身に粛(つつまし)やかに
なすべきものである

箴言註釈20 現代語表記版

そもそも反省ということは、その人自身が、自分の心の有り様や変化に対する現在ただ今の状態を、その人の本心良心に反映させて熟考する心の働きを指して言うものである。

従って、反省という心のはたらきは、厳密に言えばどこまでも自発的なもので、決して他発的なものでないと言うべきである。

それゆえに、この特殊な心の発動を、第三者が促すことは可能であるとしても、いかなる権威者といえども、他人にこれを強要する権利は絶対に与えられていないというのが真理である。

ところが、事実に照らし合わせてみると、往々にしてそうでないことを、よく見聞きする。

しかも、その強要に応じないと、ひどくその人を悪く言って盛んに憤慨激怒する人がいる。そのうえ、それが感情、理性の判断だけで考えられたことであることに気づきもしない。

まったくこれこそ笑えない滑稽とでもいうべきであるが、その人自身はそうとは感じないで、自分のそうした態度を、あくまでも正当と考えている。

従ってこの種の人は、本来人生に何よりも大事なことは、他人の心や行為を批判することよりも、常に自分自身の心の態度や行為を、自分自身で、厳密に批判すべきだということに、全く気づいていない。

要するにその原因は、難しくいえば、「人生は、現実と精神に対して思いを巡らす省察=反省の深さによって、正しいかどうかの結論が決まる」という絶対真理を自覚していないからである。

西洋の哲人の言葉にも、
○「優れた人は、自己を責めて、他人を責めない」
というのがある。

私がしばしば揮毫する六然訓句(※編集部注)の中にも、
○厳然自粛というのがある。

いずれも、その真意は相通ずるものであるということをよく考えてほしい。

まして、人生を現実に正しく更生することを、徹底的に成し遂げようする天風会の夏期修練会の課程を修めて、今や心も身も全く文字どおりに更新され、この上ない喜びの尊い情熱に包まれているであろう会員諸君は、より一層心を戒めて、ますます世のため人のため有意義な真人生に生きるために修得した各種の教義と箴言の中に、特にこの箴言の要旨を加えて、かりにも蔑ろにするようなことのないようにと、心からお奨めする次第である。

「ともすれば思はぬ方にはしるかな 心すべきは心なりける」

※註
「六然訓句」出典・中国明代の崔銃著『聴松堂語鏡』
原文は、「自処超然 処人藹然 無事澄然 有事斬然 得意澹然 失意泰然」
中村天風はこれを孫文から示教されて、
「超然任天 悠然楽道 藹然接人 厳然自粛 毅然持節 泰然処難」と
揮毫(きごう)した。


『天風哲人箴言註釈』昭和三十八年発行、「箴言二十」現代語表記・編集部編
 

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