今月の天風箴言

どんな事を為すにも力と勇気と信念とを欠如してはいけないが、
其(その)場合「調和」ということを無視せぬよう心かけないと
往々軌道を外れる

箴言註釈12 現代語表記版

そもそも人生に起きる人事世事の一切に対応する際、その何より肝心なことは、自分の心に「力と勇気と信念」を欠如すると、しばしば全ての事柄に完全な対応をすることが出来なくなったり、または十分でなく終わる怖れがある、ということを忘れてはならないということである。

ところが、大抵の人が、この大切なことを正しく自覚していない傾向がある。

そして、物事の処理や統御が思うように完全にできないと、その原因が何か他に存在しているかのように考えて、概(おおむ)ね、多くの場合その因果関係が自分の心構え=心の態度の中にあるのだということを、正しく認識しない。

およそこの世のありとあらゆる事物の中に、原因のないものは絶対に一つとしてあり得ないのである。

要約すれば、一切の結果や現象は、原因というものの積み重ねに他ならない。

現にアインシュタイン氏の相対性原理説の中にも、原因と結果はそれを成り立たせている構成に対する相対的連携であると説いている。

実際に、このことが絶対真理であるということは、自分の言葉や行動や仕事などの結果に何か意に満たないものがあるとき、それを詳しく検討すると、必ず「力」か「勇気」か、もしくは「信念」が欠如していたためだという原因があるのが事実である。これは少し注意するとすぐに納得できることと思う。

そうであれば、誰であれどのようなことをする場合にも、力と勇気と信念の三者を一体とした心構えが、その事柄の成果を現実化するのに何より必要な根本要素だと、無条件に自覚するに違いない。

がしかし、特に重要な付帯すべき条件として疎(おろそ)かにしてはいけないことは、たとえ力と勇気と信念とを以って事柄に対応すると言っても、その場合、調和という大切なことを無視することは、断然許されないということである。

というのは、調和ということを無視した言動は、当然完全なる成果をもたらすことができないからである。

これは「不完全の中に調和は絶対にあり得ない」という宇宙真理があるためで、従って調和を度外視した言動は、結局は、現実を構成している軌道(きどう)(法則)から必然的に逸脱(いつだつ)してしまうような結果を招くことになるからである。

これはよく世間に実例のあることで、多くの人の中には、何かの目的の成就(じょうじゅ)に向かって、力も、勇気も、信念も、十分にその心構えの中に申し分なくあるのに一向によい成果を実現することが出来ない人がいる。

そしてそういう人に限り、調和という大切な条件を無視して、ただガムシャラ一途に自分の存在のみをそのすべてとする、無軌道的(法則を無視した)努力を懸命にしているのである。

要するにこうした人は、結局は自分の存在のみを重く考えて、自分以外にも人がいるのだという大切なことを重大に考えない結果、知らず知らずの間に調和を無視してしまうためである。

すると、その当然の結果として、物事の現実化がその努力に相対してこないことになる。

実に先に述べた真理と事実とを厳粛(げんしゅく)に考察すると、かりにもわれわれ真理に即して人生に正しく活きようとする者は、調和を無視した人生に、たとえ瞬時の間といえども活きるべきでない、と正しく自覚し、かつ実践をすべきである。

○天風訓言
 調和は、相対事物の中にこれを求めるべきでなく、要は、自らすすんで作為すべきものである。

『天風哲人箴言註釈』昭和三十八年発行、「箴言十二」現代語表記・編集部編

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